エジプト語で
心が通う

今でこそアラビア語(エジプト語)が話せますが、こちらへ来た当初は基本的な挨拶といくつかの単語を知っているだけでした。街中では英語は通じません。そう、それに加えてそもそもアラビア語の標準語であるフスハ(日本語で言う書き言葉)も街中では通じません。それでエジプト語が話せるようになってやっとエジプト人と親しくなれるんです。 このエジプト語を知っているということは単に意思疎通ができると言うだけでなく、エジプトの物の相場なり、習慣なり――例えばサービスしてあげたらチップはそれなりに払ってくれるよね、など――を知っていると思われることなんだと思います 。

物の値段とは?

ここで一つ言っておきたい事、それはエジプトで特にサービスに関して「定価」という概念が無いのだと思われること。お金のある人はそれなりに沢山払ってくれるべきだし、提示した額で了解したのならそれが値段というものだと考えている。そう理解すると、物やサービスの対価を払うことにおいてストレスを感じずにすみます。ガイドブックやご旅行された方のブログなどに書かれている、“ぼったくり”だと不快な思いをするのは、人によって値段が違うことが理解できないからだと思うのです。

活気あふれる
エジプトの市場

エジプト人の妻としてこちらへ移住してきましたから、庶民が行く市場で野菜や肉などの食料品を買い、公共交通機関で出来るだけ移動しようと思いました。 私が週に1,2回通う市場は、野菜を中心に鶏肉や羊肉、魚などを売る人が1㎞近くにわたって道にお店を並べている大きな青空市場です。ここは活気があっていつもエネルギーをもらうような気がします。

豊富な野菜や果物は畑から直送された新鮮なものばかりで、形は不揃いですが味があり美味しいです。日本だと1年中どの野菜もスーパーに並んでいますが、エジプトでは季節の野菜しかなく、例えばオクラは夏だけ、ネギやほうれん草は冬だけしかありません。季節に纏めて買って冷凍しておく家庭もあるようですが、私は季節の野菜を楽しむことにしています。またkg単位で買うので初めは戸迷いましたが、慣れれば大きさや熟れ具合の違うものを取り混ぜて買えるので便利!しかも安いので食卓を豊かに、ヘルシーにしてくれます。

エジプトの市場で

近くの市場でオクラやモロヘイヤを売る女性

カイロで
バスを乗りこなす

どこかへ行く時に公共バスに乗っていくのは相当ハードルが高いです。大型バスの行先はアラビア語でしか書いてないですし、中型のバスや小型のバスは行く先も書いてないので声を掛けて聞かなくてはなりません。上手く乗車できても、車内放送もないですから車掌さんか周りの人に目的地が近づいたら教えてもらわないといけないんです。それに比べるとメトロは乗りやすい。3本しか走っていないので迷うこともありません。 タクシーは言い値での乗車なのでこれもまた初心者には乗りにくいですね。外国人の場合には乗る前に交渉しておくことが大事です。「定価」は無いのですから、行きたい場所へこのくらいの金額なら出しても良い、と言う額で乗ればいいです。それでも降車時にお釣りが無いと言われて不快な思いをすることがあります。最近はUberやCareemといったサービスが出来て、ずっと乗りやすくなりました。

一旦慣れてしまうと庶民の足となる公共の交通機関で移動するのも苦にならず、また路線を何回往復できたかという出来高収入で生活しているマイクロバスのドライバーたちの情報網やしたたかさに感心。中・長距離を結ぶバスの場合、ダウンタウンや高架道路への入り口で普通の人は知らない裏道を通ったりします。彼らは毎日何回も行き来しているので空いている回り道を知っているんですね。あちこちで渋滞が起こるカイロの街では、この裏道走行が渋滞を避ける上策なのです。タクシーよりずっと安価で、しかも移動時間を短縮できるという恩恵を受けています。

マイクロバス

マイクロバスに乗り降りする(ドッキのハシャブというマイクロバスの起点にて)

イスラームの根付く国
エジプト

実は、人口の約10%はコプト教徒(エジプトで発展したキリスト教の一派)です。思ったより多い。でも街の中はやはりイスラム色が強いと感じます。数えきれないほどのモスクがあり、お祈りの時間を知らせる呼びかけの声、アザーンが聞こえない場所は無いでしょう。

毎週金曜日のお昼時に行われる合同礼拝には多くの男性イスラム教徒がモスクへ行きます。ほとんどのモスクは一杯になり、外にも茣蓙を敷いて礼拝する人を見かけます。それだけ金曜日はモスクへ行って礼拝するという事を重要視しているのです。

そのイスラム教の大きな宗教行事がラマダンです。1か月の間、日の出前の暁(ファジル)の時刻から日の入りまで飲食・喫煙を禁じられますが、就業時間が短縮されるなど街全体がゆったりした雰囲気になり、ラマダンランプが飾り付けられてお祭りのようです。

もう一つの祭事が「犠牲祭」。これはイスラム教徒がメッカへ巡礼に行く祭事です。メッカへ行くことができない人は、自国で羊などを捌いて貧しい人などに分けます。国によっても違うのだと聞いていますが、エジプトでは本当に沢山の羊、牛、ラクダが家の前で捌かれます。その日は道端が赤く染まってしまうほどなのです。

私は1996年、2016年の2回、サウジアラビアへ巡礼に行きました。世界中から集まった言葉・習慣の違うイスラム教徒たちの大遠足でした。第一回目の時は、生まれながらのイスラム教徒と頭でイスラムを理解して入信した私のようなイスラム教徒との違いを深く感じました。でも行って本当に良かった。心から巡礼を楽しんでいるイスラム教徒たちと時間を共有できて。

ラマダンについてはこちらに詳しく書いています。

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