コロナと共存の政策を打ち出したエジプト
エジプトはコロナが初めて感染拡大した2020年3月19日から3か月以上もの間、空港を閉鎖しました。その間はピラミッドなどの観光地も閉鎖。このような長期間の観光地閉鎖は2011年のエジプトの革命の時にも無かったことです。

誰もいないピラミッド(2020年4月14日撮影)
一転して7月1日に空港を開港し、その後は経済優先の政策を取りました。空港開港と共に閉鎖していたピラミッドなどの観光地もオープン。しかしその頃は全世界がコロナ禍で揺れ、多くの国で国外へ行くことが困難な状況に陥っていました。2020年9月に空いているピラミッドを楽しもうと入場した時、空いているどころか観光客は殆どいませんでした。3つのピラミッドが遠望できるパノラマポイントやスフィンクスへ向かう歩道には平常時ならお土産物を売る露店がずらっと並んでいるのですが、売り子はどちらも2、3人。ラクダ使いも殆どいませんでした。

物売りが殆どいないスフィンクスへ向かう歩道(2020年9月9日撮影)
そのうちの一人、私が日本人だと知った後、「日本人は何でまだエジプトに来ないの?」と聞いてきてびっくりしたのを覚えています。私はエジプトから臨時便で退避していた日本からエジプトに戻ったばかりだったからです。エジプトの革命の時には国内が(一部の場所だけでしたが)安定しておらず外国から観光客が来ないのは理解できても、目に見えないコロナのせいで海外からエジプトへ旅行に来るのは困難だという状況が理解できなかったのです。
観光客が戻りつつある
そのギザの3大ピラミッドを1年ぶりで訪れました。入ってすぐに見えるクフ王のピラミッド前の駐車場には大型バスが止まり、エジプト人だけでなく外国人の姿も。

クフ王のピラミッド前で (2021年10月6日撮影)
パノラマポイントでは露店にも売り子が戻り、また沢山のラクダがお客さんを待っていました。ラクダ使いに聞くと、「スペイン人、アメリカ人などが来ているよ。韓国人、中国人、日本人は全くだけどね。アジアはコロナがあるから。」「ここではコロナは終わったからね。」などの声が聞かれ、明るい表情なのが印象的でした。

パノラマポイントのラクダ使い
シャルムエルシェイクやハルガダなどの紅海沿岸地区にはしばらく前から観光客が戻ってきていましたが、最近はカイロにも戻りつつあるのです。
エジプトへの入国にはワクチン証明書かPCRの陰性証明が必要ですが、入国後の待機はありません(日本からエジプトへ入国する場合に必要な手続きについてはこちら)。恐らく今後も経済優先、コロナと共存の方針は変わらないと思われます。これからの観光客の戻りは、世界各国がどのようなコロナ戦略を取っていくのかに関わっています。ヨーロッパ・アメリカのようにウィズコロナへシフトした国からエジプトを訪れる観光客は増えるでしょうが、ゼロコロナ政策を取っているアジア各国からの観光客の戻りは遅いことが予想されます。
(2021.10.24記)