エジプトでは4月2日からラマダーン月(断食月)が始まりました。ラマダーン月の間、イスラム教徒は暁(日の出の約1時間前)から日の入りまで、飲食、喫煙を禁じられます。イスラム暦は西暦と一年の長さが約11日異なるため、この分繰り上がって年々早く始まるのです。ここ数年は北半球の国々では初夏から春にラマダーン月が巡って来ます。

食材やナツメヤシが並ぶラマダン月のスパイスショップ
エジプト人はラマダーン月を楽しみにしています。この月、いつもより長い時間コーランを読むなど宗教的意味合いが強いのですが、イフタール(断食後の最初の食事)に間に合うように会社の就業時間が短縮されるなど、街全体がゆったりした生活習慣になるという利点もあるのです。
ラマダーン月が始まる10日ほど前から、食材店は布などで飾り付けがなされ、エジプト人のおなかを満たす食材が山のように盛られて売られ始めます。その中でも目を引くのが乾燥したなつめやしの実。断食を開くときに、ナツメヤシの実をミルク、水などに浸して柔らかくしたものを食べる習慣があるからなのです。これは預言者モムハンマドがそうしていたという言い伝えに基づいているのですが、実際にナツメヤシの実はミネラルなどの栄養価に富み、またエネルギーに素早く転換される食品であり、断食明けの食べ物として優れたものであることが現在ではわかっているそう。そして大事なイフタールは沢山のお料理で食卓を飾り、親戚や友人などを招いて大勢で食べる習慣があります。

モスクの入り口に吊り下げられたラマダンランプ
また街のあちこちにラマダーンランプが吊り下げられ、イルミネーションが夜の街を彩り、クリスマスのような装いに。特に夏の時期にラマダーン月が巡って来ると、暑い昼間を避けてショッピングなどに出かける人が多くなるので、カイロの街は夜遅くまで賑やかです。
(2021.4.13 記 2022.4.2 改訂)