エジプトは国土の約90%が砂漠。農耕地が広がるのはスーダンから流れ込むナイル川の流域だけで、他に草木が見られるのは内陸にぽつぽつと点在するオアシスのみ。では“砂漠”と聞くとどんな風景をイメージしますか?風紋の描かれた波打つ砂地が見渡す限り広がっている光景でしょうか。エジプトにはこのような砂漠は見られない代わりに、一風変わった砂漠の絶景を楽しめる場所があるのです。それが白砂漠と呼ばれている場所です。
地理的にはエジプトの真ん中辺り。カイロからただただ広がる荒涼とした砂漠地帯を4時間ほど走り抜けたところにバハレイヤというオアシスがあり、ここが白砂漠観光の拠点になります。ここで4輪駆動車に乗り換えて向かった先に見えてくる景色は...
白砂漠は太古の昔海だったところで、その時堆積したカルシウムを多く含む地層が隆起して地上に出た後、長い年月をかけて風蝕されてできた奇岩が無数に点在するのです。そのため真っ白な世界にぽこぽこと奇岩が点在する光景が!奇岩は大小さまざま。大きいものは人の2倍以上の高さがあるでしょうか。4輪駆動車で風を切ってこの白い世界を走り回り、ドライバー兼ガイドさんが“キノコ”やら“小鳥”などと名付けられた岩がある場所へ連れて行ってくれます。
岩の形は似たり寄ったりですから方向を見失ってしまいそう。また砂地でかなりアップダウンがあり、慣れたドライバーでなければ砂に車輪をとられて抜け出せなくなってしまいます。
このほかにも全く違った風景が目を楽しませてくれます。
こちらは黒っぽい小山があちらこちらにある黒砂漠。鉄鉱石を主とする大地が風蝕されてできた景観です。
水晶を基盤とし、水晶の小石が足元にちりばめられています。でも持ち帰らないでくださいね。20年ほど前に来た時よりは水晶が激減しているように感じました。クリスタルの減少が続くと立ち入り禁止になってしまうかもしれません。
ここはまた一味違った風景のアガバートと呼ばれる場所。高低差のある砂地があり、素晴らしい景観の中、四駆での疾走を楽しめます。
そして砂漠で過ごす一夜は素晴らしい!全く光の無い世界で寝転がって見る星空は言葉になりません。私は日本で光の無い世界へ星空を見に行ったことが無かったので、奥行きを感じる星空を不思議な気持ちで眺めました。また月が沈んでからも星の光で明るいことは驚きでした。月のある風景は良く撮影するのですが、星は初めて。なかなかうまくいかず、あきらめて記憶にとどめることにしました。星座の事もよく知らないとだめですね。
私たち4人と韓国人5人の2グループでのサファリでしたので、四駆が2台。車をくの字に止めて煙幕を張り、その前でドライバーさん二人がスープ、ご飯、ジャガイモなどの野菜煮込み、チキンの炭焼きを作ってくれました。私たちはテントをリクエストしていました。4つのミニテントが張られその中で寝袋にくるまり寝ました。風が強い日もあると聞きます。幸い無風、夜でも20℃をちょっと下回るくらいでしたので気持ちよく眠れました。
どこでもトイレの世界です。そして水は貴重。普段の生活で浪費しているのを顧みる良い機会です!
白砂漠ツアーはカイロからは1泊2日の行程になるので、通常のエジプトツアーには含まれていません。でも遺跡とはまた違った心休まるスポットとしておススメです。何よりもいいのは、電話もインターネットもつながらないということかもしれないですね。
カイロ・ギザのホテルを7時前後に出発します。バハレイヤまで約4時間。途中、軽食なども取れるサービスエリアで1回休憩を取りました。ここは全てのものが高かったですが、砂漠のど真ん中できれいなトイレを提供してもらえるのはありがたい!行きも帰りも飲み物やスナックをお礼代わりに買いました。ドライバーたちにとっても重要なポイントだと想像します。他にガソリンスタンドを見かけましたが、人が住む街を全く通りません。またトイレ休憩を増やすとそれだけバハレイヤへの到着が遅れます。
バハレイヤのホテルで昼食。車を乗り換え14時ごろ白砂漠へ向けて出発しました。以前は白砂漠でキャンプができましたが、2024年10月現在禁止されており、白砂漠や黒砂漠などを見終えた後黒砂漠の付近でキャンプしました。星空を見ることが目的でしたので私たちにはよかったですが、白砂漠で日没を迎えたいとか、あの風景と共に星空を撮りたいという方は、ツアーを催行する会社にご確認ください。日没を景色の良いところで見たりするので、キャンプ地に着いたのは日没1時間後くらい。冬場はいいですが、夏時間の間は夕食が9時近くになってしまいます。また星を見たいという場合には、満月よりも新月に近い方がおすすめです。幸いなことに雨は1年中ほとんど降りませんが、3月ごろに多い砂嵐が来そうなときは避けたほうが良さそうです。