エジプトでは11月20日、預言者ムハンマドの生誕祭を祝いました。といっても、ここエジプトではスイーツを食べるだけ。調べてみると、これはイスラム教にもともと存在する祭礼ではなく、ファーティマ朝(909年から1171年に北アフリカを支配したイスラム王朝。現在のチュニジアで興り、エジプトのカイロを中心に栄えた。)時代にエジプトの宮廷で祭礼として始まったもののようです。
生誕祭の2週間くらい前になると歩道や空き店舗に写真の様なスイーツを売るお店が突如出現します。歩道上に建てるなんて全くの違法ですが、取り締まりしないようですね。。。目を引くのは高さ50cmくらいの花嫁姿のお人形です。預言者ムハンマドとこの花嫁姿のお人形の繋がりは?特に何もないようなのです。ただ一昔前には女の子はお人形の形の、男の子は馬やらくだの形の砂糖菓子を食べていたそうです。今では砂糖菓子の代わりにスイーツに添えて贈られる単なるギフト。日本でバレンタインデーにチョコレートと共に売られるものを思い出させます。
現在売られているスイーツは、昔ながらのお人形や馬の形の砂糖菓子も僅かにありますが、殆どはいろいろなナッツを砂糖シロップで固めたスイーツで、kg単位で売られています。エジプト人は大のナッツ好き。良く売れています!エジプトに来た当初は親戚が贈ってくれたりもしましたが、甘くて食べきれずに困りました。ここ数年はやんわりと辞退しています。
イスラム教の他の祭事と同様、この生誕祭もヒジュラ歴によります。第3月の12日ですが、ヒジュラ歴は1年がおおむね354日なので、現在私たちが使用している太陽暦とは毎年約11日ずれが生じるのです。したがって、この生誕祭は季節が前へ前へと移っていきます。10年前の生誕祭は2009年3月9日、5年前は2014年1月14日。1年が365日と認識して生まれ育った者には大変違和感があります。でもそれは人間が決めた決まりごとによるもの。誕生日がどの季節にも訪れ、成人式は暑くて浴衣で祝ったわねぇ、還暦は桜の下でお花見をしたわ、というような祝い方も思い出深くて良いのでは?