ピラミッドへ夕日が沈む光景は私の一番好きなエジプトの景色。そのなかでも今回撮影した夕景は特に素晴らしいものでした。
2024年6月20日、エジプトではこの日が夏至。夏場は雨が全く降らないので、夏至の前後1か月くらいが最も暑いのです。夏時間を採用しているため日の入りは20時少し前。日の入りを見るため19時過ぎにピラミッドへ着きましたが、気温は35℃を超えている上日差しが強く、とても日の当たるところには居られません。そしてピラミッドエリアは既に閉鎖されているため、スフィンクス側出口付近にあるプチホテルのルーフトップカフェに席を取って日が落ちてくるのを待ちました。だんだんと落ちてくる太陽。その方向は丁度クフ王とカフラー王のピラミッドの間なのです!
実はこの構図、古代エジプトで使われていた象形文字、ヒエログリフの『アケト』という文字を具現しています。二大ピラミッドの間に太陽が沈む、正に夏至の日の絵なのです。ヒエログリフは日本語の山や川の字のような表意文字とひらがなのような表音文字とからなり、この『アケト』という文字は地平線を表す表意文字です。日が落ちてくる間、遠くに地平線が見えていました。
ピラミッドが建設された古王国時代には現在のような建物が密集する街は無く、遠くからでもピラミッドが見えたにちがいありません。太陽はとても力強く、その光景は荘厳だったことでしょう。
夏至を過ぎて季節が移り行くと、太陽の沈む位置はどんどん南によって行き、第3のピラミッドであるメンカウラーの方へ沈むようになります。真夏よりも空が焼けるようになり、それもまた美しいです。