コシャリというのはエジプトの国民食。調理済みのマカロニ、スパゲッティ、米、ひよこ豆、レンズ豆、茶色になるまで揚げたスライス玉葱を混ぜて、トマトソースをかけて食べるファーストフード。お好みでお酢、唐辛子ソースもかけます。
ご飯とマカロニを混ぜるというアイディア、エジプト特有のものだと思っていたら、日本にもそばめしというのがあるとのこと。これは確かにコシャリに通じるものがあると思いました。ただコシャリは全てのものが調理済み。盛り付けるだけなので注文したらすぐに出てきます。プラスチックの容器に入れてテイクアウトも可能です。
コシャリ屋さんはサンドイッチ屋さんと同じくらい街のどこにでもあるお店で、日本で言うとコンビニと同じくらいの存在感でしょうか。それなりに人通りが多い通りにあるのが普通です。ところが、カイロっ子なら知らない人はいない、とまで言われる有名なコシャリ店、「アブー・ターレック」はちょっと裏道に入った住宅街にあります。それにも拘らずいつ行っても混雑していて、待たなければ座れないことも多いのです。オススメのエジプト料理として日本をはじめ外国のガイドブックにも掲載されていることから、観光客も食べにくる繁盛ぶり。これだけ繁盛したらあちらこちらにお店を出してビジネスを拡大させていきそうなものですが、「アブー・ターレック」は1950年代に創業してからこの一店舗のみでの営業に拘っているようです。
繁盛の要因は、もちろん美味しい事。いろいろ食べ比べましたが、こちらのお店のコシャリは確かに美味しい。他店との違いは何か考えてみると、マカロニ・スパゲッティの茹で具合とトマトソースの味でしょうか。コシャリは全ての具材がコロコロした触感でなくてはだめ。シンプルな料理だけに、頑なに同じ茹で具合やトマトソース味に拘り、多店舗展開をしないところが良いのではないかと思い至りました。
米、マカロニと豆類だけなのにとても腹持ちが良く、昼食に食べるメニューとしては最高ですが、肉類が入っていないので夕食にはちょっと寂しいように思えます。昼間飲食をしないラマダーンにはそぐわない食べ物なのか、この1か月多くのコシャリ店は休業します。