エジプトではアエーシと呼ばれる平たいパンが主食ですが、夕食のメインはご飯です。
エジプトで売られているお米は、日本で食べているのと同様に粒が丸っこい短粒種。こちらに来てからずっと意外だと思ってはいても、エジプト人がごく普通に食べていて聞く機会を逸して過ごして来ましたが、エジプトの日本人会が発行する定期刊行誌『パピルス』の2017年1、2月号に、現在のエジプト米は100年前に日本からもたらされたジャポニカ米が品種改良されたものだという記事が掲載されて、びっくりするとともに大いに納得。そのジャポニカ米は、100年前のエジプトで米栽培を活性化させようとしてスペイン、イタリア、アメリカ、中国、インドなどから集められた約250種の品種の一つで、エジプトの気候に適し収量が高いことから選ばれたそうなのです。
その後品種改良を重ねてエジプトに根付いたジャポニカ米、日本人が食するようにそのまま水だけで炊くと少しぱさぱさした感がありますが、エジプト人が作るように、細いマカロニ(太さ約1㎜)をバターなどで炒め、さらに米も一緒に炒めてから炊くと美味しいエジプシャンライスができ上がります。マカロニが余分な水分を吸って炊きあがった、ベタベタせずもちっとしたバターライス!
エジプトではこのごはんに牛肉や羊肉と季節の野菜をトマトソースで煮込んだ料理をカレーのようにかけて食べます。ズッキーニ、なす、じゃがいもなどはトマトソース煮の材料として想像しやすいと思うのですが、オクラ、いんげん、カリフラワー、ホウレン草なども使われます。
日本では日本の食文化に適した米が進化を遂げ、エジプトではエジプト料理に合った米が作られてエジプトに溶け込み、豊かな食文化をなしているのです。
(2018/8/30 記、長野市民新聞寄稿記事を元に改訂)